三年目

結論を言うと途中で仕事を辞めた。

年長組の担任を途中で辞めた。

今なら言える、私は出きることはやった。

 

年長組の学年主任になった。

小心者の私はそれだけでプレッシャー強くを抱いていた。

隣のクラスは明るい新任だった。

心強かったしあのメンタルを私は尊敬していた。

最初はスムーズに進んでいた。

 

年長組は初めて受け持つので、佐田に仕事を教わっていた。

徐々に仕事を教えてもらえなくなった。

『年長組の先生達にやる気が感じられません。』とメールで言われ打ち合わせはなくなった。

それでも、子どもは登園するし行事は迫っている。

やるしかないのだ。

新任の力を借りてとにかく子ども達と練習をすることにした。

練習を始めると佐田がやってくる。

「やり方が違う!」と子どもの前で大声で怒る。

私は「どうやるか教えてください。」と伝える。

すると佐田は「二年間何を見てきたの?去年も年長組は練習してたよ。」と浮腫んだ顔を私に向ける。

こんなやり取りが何度かあった。

 

佐田の顔は本当に意地悪だ。

教えてもらえないからとにかくやっていたら、違うと怒られ、さらに聞いても教えてもらえなかった。

去年は年少組のことで手一杯だったし一年目は年長組の手伝いなんてしてないし、していたとしても完全に覚えている方がよっぽどの強者だ。

 

一学期もちょこちょこ理不尽なことはあったと思う。

毎日父親に愚痴っていたのを覚えている。

父親は「佐田にも何かストレスがあるんじゃないの。」と言っていた。

 

いつだったか、9月の終わりごろ佐田に呼ばれた。

二人で話していたら赤木というパート教諭も参加した。

私は器用貧乏だと言う。

そして、私を育てたくて意地悪していたんだと言う。

何を考えているか分からないとも言われた。

 

何の言葉も耳に入らなかった。

一生懸命だった私はついに頑張る糸が切れた。

もう朝起きられなかった。

幼稚園へは行けなかった。

 

悔しいも何もなかった。

ただスッキリした。