幕開け
私は幼稚園教諭として働いていた。
そこでとても良い経験をした。
まず、一年目同期が3ヶ月で辞めた。
理由は一目瞭然、上司と揉めたからだ。
一人厄介な上司がいた 名前は佐田先生。
佐田は朝は機嫌が悪い。
顔を浮腫ませふてぶてと出勤する。
「おはようございます。よろしくお願いします!」
先輩先生を探し回って言うのが我が園の風習だ。
佐田はボソボソと「おはようございます。」と言い席に着く。
私はとても苦手であったが一年目はどうにか切り抜けた。
代わりに同期がその八つ当たりを受けてくれていたのだ。
同期は二人いて一人は3ヶ月で辞めたがもう一人は36歳の気の強い人だった。その人はどれだけ理不尽に怒られようが何も気にしていなかった。
もうすでに聞かなくて良いこと、が分かっていたのだろう。
二十歳そこそこの私から見ると本当に大人に見えたし、「真剣に聞かなくていいのよ。」とアドバイスもしてくれたがそれを実践できるほど私は出来た人間ではなかった。
私は佐田の言葉を全力で受け止めたし、全力で気にした。
私の社会人二年目が幕を開ける。